Koichi Fujino Lab

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Feb 28, 2022
10:32 am

論文「連帯の幻想と孤独の現実ーアンダーソンが予言し、カウリーが検証した1920年代のニューヨーク」を掲載しました。

論文を発表しました。

「連帯の幻想と孤独の現実―アンダーソンが予言し、カウリーが検証した1920年代のニューヨーク」
・ 発行年月日  2022年 2月 28日
・ 発表雑誌   西南学院大学外国語学論集 第2巻 第2・3合併号  (西南学院大学学術研究所発行)
『西南学院大学外国語学論集』2.2-3 ( 2022) : 61-80.
・ 英文題名 Koichi Fujino. “Isolation and Solidarity in New York, 1920s: From Sherwood Anderson’s Prophetic ‘Loneliness’ to Malcolm Cowley’s Retrsospective Exile’s Return.” Seinan Journal of Foreign Language Studies 2.2-3 (2022): 61-80.
・ ページ   61-80.
・ 要旨    野心を抱いてニューヨークにやってきた個人(ことに芸術家、作家)は、いっとき都会に生きる人々との交流を楽しむものの、結局は、信頼するに足る連帯を失って孤独へと陥る運命をたどる。このような、ニューヨークにおける連帯の幻想と孤独の現実にまつわる文学的イメージは、1919年にシャーウッド・アンダーソンの短編「孤独」によって予言的に描かれて以来、1920年代のフィッツジェラルド、ヘミングウェイ、フォークナーといったモダニズム作家たちの代表作におけるニューヨークの描写によっても補強されてきた。だが、これらの作家たちはいずれも、マンハッタンを中心としたニューヨークの世界を、外側から冷ややかに見る立場で描いている。果たして、1920年代をニューヨークの内側で過ごした人々は、実際にどのような連帯を経験し、そして連帯を失ったとすれば、どのように失ったのだろうか。この発表では、マンハッタンで作家志望者として1920年代を過ごし、文学的ニューヨークの実態をつぶさに眺めてきたマルカム・カウリーの『亡命者帰る―「失われた世代」の文学遍歴』(1951)に拠り、ニューヨークにおける連帯の幻想と孤独の現実の実態が、どのようなものであったかを論じる。